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News-Archive ( before 2025. 9 ) こちら

NEWS ( ~ 2026. 8 )

2026/8/1

[人事] 富山大学M2東 怜志 さんがJAEA特別研究生としてメンバーに加わりました。3ヶ月間グループに滞在し、強相関電子系化合物の実験研究を行います。

2026/7/30
[プレス]UBe13の完全ギャップ・スピン三重項超伝導剥がされた40年にわたる謎のベール」というタイトルでプレス発表を行いました。本研究では、NMR(核磁気共鳴)法を用い電子状態を精密に測定することで、1983年の発見以来、特異な性質を持ちながらも詳細が謎のベールに包まれていた金属間化合物「UBe13」の超伝導の正体が、電子が同じ向きにスピンして対を作る「スピン三重項超伝導状態」であることを明らかにしました。本物質で発見されたこの超伝導状態は極めて特殊な「トポロジカル・スピン三重項超伝導」であることが理論的に予測されており、エラーに強い次世代量子コンピュータの材料開発で期待されています。本研究の成果は、日本物理学会の欧文誌「Journal of the Physical Society of Japan」に掲載され、Editors’ Choiceにも選出されました。

2026/7/28
[プレス]左右対称な物質に現れた「電子の利き手」ウラン化合物で新しい電子の秩序を発見」というタイトルでプレス発表を行いました。右手と左手のように、鏡に映した像が元の像と重ならない性質「カイラリティ(掌性)」は、医薬品の薬効やハーブの香りの違いなど、身の回りのさまざまな現象に深く関わっています。これまで物質のカイラリティは、原子の並び方(構造)によって生じると考えられてきました。我々は以前、結晶構造はカイラリティを持たないにもかかわらず、電子の配列だけがカイラリティを持つ可能性を理論的に提案していました。今回、その新しい電子状態をウラン化合物で発見し、実際の物質中で実現していることを初めて確認しました。 本成果は、「カイラリティは原子配列に由来する」という従来の常識を拡張するものです。電子由来のカイラリティを利用することで、光や電流、磁場による超高速な機能制御が可能となり、新しい光学機能材料やスピントロニクス材料への展開が期待されます。本研究の成果は、米国の物理学会誌「Physical Review Letters」に掲載され、Editors’ Suggestionにも選出されました。

2026/7/27
[セミナー] 917回基礎科学セミナー
名古屋大学大学院理学研究科の 山影 相 講師に来所いただき、「トポロジカル超伝導と強磁性共鳴変調の理論」というタイトルで、第917回基礎科学セミナーを行っていただきました。

2026/7/23
[セミナー] 919回基礎科学セミナー
大阪大学大学院基礎工学研究科の 清水 真 特任助教に来所いただき、「UTe2のフェルミ面・磁気ゆらぎ・超伝導:統一的理解に向けた微視的理論」というタイトルで、第919回基礎科学セミナーを行っていただきました。

2026/7/2
[プレス]トポロジカル磁性体の新たな設計指針を確立ディラック電子を持つ正方格子物質でホモロガス系列を発見」というタイトルでプレス発表を行いました。高温超伝導体などの層状酸化物では層数を変化させるホモロガス系列により物性を系統的に制御できる設計指針が確立されています。一方トポロジカル量子物質ではこうした体系的指針がありませんでした。本研究では、トポロジカルなディラック電子状態を示す正方格子磁性体で初めて、層数制御が可能なホモロガス系列を実現する物質系を発見しました。磁気状態だけでなくディラック電子状態も、層数に依存して大きく変化することを実証し、トポロジカル量子物質を層数により設計する新しい指針となるため、物質開発が加速することが期待されます。本研究の成果は、米国化学会が発行する学術誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載されました。

2026/6/24
[セミナー] 916回基礎科学セミナー
新潟⼤学⼯学部の ⽯塚 淳 助教に来所いただき、「UTe2におけるフェルミ⾯構造に由来する磁気抵抗の解析」というタイトルで、第916回基礎科学セミナーを行っていただきました。

2026/4/26
[招待講演] 米国のホノルルで行われた国際会議2026 MRS Spring Meeting and Exhibit, Actinide Materials — From Fundamental Science to Applicationsにおいて、酒井 宏典 マネージャーが「Actinide 5f van der Waals Magnet α-UTe3: From Growth to Microscopy Revealing Localized-5f Incommensurate Antiferromagnetism with Layer-Confined Anisotropy」というタイトルで、芳賀 芳範 研究主幹が「Revisiting Crystal Structure and Ferromagnetism of Intermetallic Uranium Ferromagnets」というタイトルで、招待講演を行いました。

2026/4/1
[人事] 今津 毅士さんが博士研究員としてメンバーに加わりました。

2026/4/1
[人事] 兵庫県立大学D3の春名 信吾さんがJAEA特別研究生としてメンバーに加わりました。4ヶ月間グループに滞在し、強相関電子系の理論研究を行います。

2026/4/1
[人事] 東北大学D2の横山 旭さんがJAEA特別研究生としてメンバーに加わりました。1年間グループに滞在し、強相関電子系の実験研究を行います。

2026/4/1
[人事] 東北大学M2の橋本 尚汰さんがJAEA特別研究生としてメンバーに加わりました。1年間グループに滞在し、強相関電子系の実験研究を行います。

2026/3/31
[プレス]「スメクチック磁束液晶におけるマグナス力支配型の渦ダイナミクスを実証~超伝導を“トポロジカル流体”として捉える新視点~」というタイトルでプレス発表を行いました。本研究では、磁束が液晶のように層状に並ぶスメクチック磁束液晶状態において、磁束の再結合によって生成されるトポロジカル欠陥「スメクチック・ディスロケーション渦」がラメラ層構造に沿って運動することを見いだしました。この欠陥渦は一次元的なラメラ層に拘束されるため、渦に働くマグナス力の効果が顕著となり、従来のローレンツ力だけでは説明できない特異なホール応答として観測されました。本成果は、超伝導体をトポロジカル欠陥が支配する流体として理解する新しい物理像を提示するとともに、渦ダイナミクスの制御に基づく新しい量子輸送現象の開拓につながることが期待されます。本研究の成果は、米国の物理学会誌「Physical Review Letters」に掲載されました。

2026/3/27
[セミナー] 908回基礎科学セミナー
東北大学金属材料研究所の 野島 勉 准教授に来所いただき、「遷移金属ダイカルコゲナイド剥離単結晶における渦糸フローダイナミクス」というタイトルで、第908回基礎科学セミナーを行っていただきました。

2026/3/24
[プレス]「超伝導の常識を覆す発見―スピン三重項超伝導体だけがもつ特別な性質―」というタイトルでプレス発表を行いました。本研究では、ウラン系超伝導体UTe2に強磁場を印加し、NMR測定によって超伝導状態における電子スピンの振る舞いを調べました。その結果、磁場の増加に伴いスピンが磁場方向へ徐々に回転し、最終的に完全に揃うことで、超伝導状態が強化されるという特異な現象を見いだしました。通常の超伝導では、磁場によってスピンの向きが揃うと超伝導は破壊されるため、本成果はスピン三重項超伝導体に特有の性質を示すものです。今後は、スピンの制御による新たな超伝導機能の創出や、量子コンピューター材料への応用が期待されます。本研究の成果は、米国の物理学会誌「Physical Review B」に掲載され、Editors’ Suggestionにも選出されました。

2026/2/19
[セミナー] 909回基礎科学セミナー
東京都立大学 理学研究科物理学専攻の 堀田 貴嗣 教授に来所いただき、「核スピンとf電子の超微細相互作用の微視的取り扱い」というタイトルで、第909回基礎科学セミナーを行っていただきました。

2026/2/17
[プレス]「電子の動きで物質に「利き手」を生み出す ― 左右の高速制御で創薬・光学技術へ ―」というタイトルでプレス発表を行いました。右手と左手のように、鏡映しの関係にあって、回転では重ね合わせられない性質は「カイラリティ」と呼ばれます。従来、物質のカイラリティは原子の並び方そのものが右手型・左手型に分かれることで生じると考えられてきました。今回の研究では、原子配列は左右対称のままでも、物質中の電子の運動の偏りだけが左右の違いを持つ新しい状態が可能であることを理論的に示しました。電子は原子よりも軽いため、従来のカイラル結晶では困難である左右の切り替えが高速に行える可能性があり、省エネ光学デバイスや分子の識別・合成技術への応用が期待されます。本研究の成果は、米国の物理学会誌「Physical Review Letters」に掲載され、Editors’ Suggestionにも選出されました。

2026/2/3
[招待講演] オンラインで行われた国際会議 eQMA Workshop -- Frontiers of Unconventional Superconductivity において、酒井 宏典 マネージャーが「NMR as a Probe of Spin Fluctuations in Correlated Electron Systems -What we learned from the 115 family and beyond」というタイトルで招待講演を行いました。

2026/1/16
[プレス]「物質中の「磁石」をジグザグに整列させて電気の流れをコントロール ― 新しい電流制御で超小型・省エネ・高機能デバイスへの道を拓く ―」というタイトルでプレス発表を行いました。本研究ではミクロな磁石(電子のスピン)がジグザグに並んだ金属で、電気の流れやすい方向に偏りが生じ、ダイオードのような「電気の一方通行的な性質」を出現させることに成功しました。これは、従来の半導体接合を用いたダイオードとは異なる整流の原理です。これまで単一金属で同じ効果を発現させるには、外から磁場をかける必要がありました。今回、電子のスピンの並びが内部に創りだすミクロな磁場の働きによって、外部磁場なしに自然に生じることを初めて明らかにしました。本研究の成果は、米国の物理学会誌「Physical Review Letters」に掲載され、Editors’ Suggestionにも選出されました。

2026/1/7
[プレス]「反強磁性体で電流による電子の液晶化を実証― エレクトロニクス応用可能な電気抵抗変化として世界初観測 ―」というタイトルでプレス発表を行いました。本研究では時間・空間反転対称性の両方が破れた反強磁性体SrMnBi2において、均一な電子の動きやすさ(電子状態)が電流により液晶のように特定の方向へ偏って歪むという新現象を、電気抵抗のダイオード的な成分として初めて検出することに成功しました。さらに、反強磁性パターンを電流と磁場で制御することでダイオード特性の極性反転にも成功しました。このスイッチング可能な現象は、革新的なメモリや整流素子としてエレクトロニクス応用が期待されます。本研究の成果は、Nature Communications に掲載されました。

2025/10/16
[招待講演] クロアチア・フヴァルで行われた国際会議 International Conference on Strongly Correlated Quantum Materials (ICSCQM) Hvar2025において、木俣 基 研究副主幹が「Non-reciprocal transport in strongly correlated antiferromagnet」というタイトルで招待講演を行いました。

2025/9/24
[プレス]「磁場を味方にするウラン超伝導の機構を解明自らを柔軟に変化させ、耐えられる磁場の限界を2倍に」というタイトルでプレス発表を行いました。超伝導は電気抵抗がゼロになる際立った現象ですが、磁場に弱いことが長年の課題でした。我々は磁場に強いとされる「スピン三重項超伝導体」UTe2において、その超伝導状態が磁場の中で自らスピン状態を柔軟に変え、より強い磁場に適応することを発見しました。 本研究成果は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」に掲載されました。



Introduction

2022年度から、新しい研究グループが立ち上がりました。私たちの主要なテーマは、ウラン化合物を中心に、強く絡み合う多数の電子(強相関電子)によって創発される新奇な磁性や超伝導を探索し、そのメカニズムを解明することです。そこで得られる新しい知見は、広く物質科学の発展に寄与するとともに、全てのアクチノイド科学に貢献します。

Outlook

アクチノイド化合物では、1980年代の重い電子系超伝導や「隠れた秩序」の発見を皮切りに、強磁性と超伝導がミクロに共存する強磁性超伝導、スピン三重項トポロジカル超伝導など多彩な物理現象が数多く発見されています。これらに共通するのは、いずれも他の化合物群では見られない、独自の新しい物性を示すことです。例えば URu2Si2 という化合物の「隠れた秩序」は、発見から30 年以上経っても未だにその類型すら見つかっていません。また現時点でスピン三重項トポロジカル超伝導体の有力な候補物質は、ほぼ全てアクチノイド化合物です。また2019年に発見された新しい超伝導体UTe2は、次世代量子コンピュータへの応用が期待され、その超伝導機構の解明のため、国際的に熾烈な研究競争が繰り広げられています。アクチノイドは原子力のみならず、物質科学の領域においても非常に魅力的かつユニークな元素なのです。
我々は高度な単結晶育成技術とNMRや中性子散乱など先端物性プローブを組み合わせ、強相関アクチノイド化合物の新奇な電子物性の研究を進めます。またアクチノイド科学領域をさらに拓くために、(i) アクチノイドを含む薄膜 や (ii) アクチノイドのイオン性化合物など、新しい挑戦も試みます。これらを通じて、物質の新しい電子状態や概念も探索してゆきます。

Methods

アクチノイド化合物は取り扱いが難しく、本格的な物性研究を行える場所は、世界的にも限られています。私たちの強みは、放射性物質を扱える原子力機構の施設を用いて、高純度のアクチノイド元素を含む単結晶試料を育成できることです。本質的な物性を明らかにしてゆく上で、試料の純良性は非常に重要です。また、これら純良単結晶を、核磁気共鳴(NMR)や、ミュオンスピン回転・緩和(μSR)、中性子散乱、熱・電気・磁気輸送測定などの先端実験手法を用いて、極低温、高圧、強磁場などの極限環境下における物性研究を行います。物性理論の助けも借りて、新奇な電子状態の観測につなげてゆきます。


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