概要

〜超重量級元素の素顔に迫る〜


新しい元素の探索とその未知なる性質を明らかにすることは、
日々進歩している化学および核物理学の世界においても、挑戦的な課題です。

いったい何種類の元素が、この地球上に存在出来るのか?
どのような方法で合成でき、どの程度長く存在できるのか?
どのような性質が極限の原子核の安定性を決め、そして化学的にはどのように振る舞うのか?
極端に多くの電子がつくる空間では、電子状態はどうなっているのだろうか?
これらの疑問は、科学における最も基本的な問いではないでしょうか。

本研究グループは、元素の周期表において最下端に、また核図表では上限に位置する
近年新たに発見されてきた超重元素の化学的・核的な性質を理解することを大きな目的にしています。

しかし、超重元素の生成量は極めて少なく、しかも数分以下の短い寿命でしか存在しないため、
実験では1個の原子を対象に,迅速に分離分析して化学的・核的性質を決定することが必要となります。
そのためその性質はほとんど明らかにされていません。

我々のグループでは、新たに開発しているユニークな実験手法を超重元素の化学的研究に適用し、
特に、超重元素のイオン半径や酸化還元電位、イオン化ポテンシャル、そして化合物形成といった観点から、 重元素の価電子状態を明らかにしようとしています。

また、超重元素の安定性や存在限界はその原子核の殻構造と密接に関連しています。
そこで、陽子・中性子軌道エネルギーを実験的に観測できるα-γ核分光研究を通して、
超重原子核の殻構造を理解する研究を展開しています。