図1:陽子過剰核である水銀180の核分裂における核分裂片の質量数と全運動エネルギーに対する収率分布。新たな質量非対称核分裂様式の発見となった。
原子力エネルギーや放射線の利用は、原子核が関与する現象を巧みに利用したものである。原子核の本質をより深く理解し、新寄な現象を見出すことによって、さらなる応用の道が開かれるばかりか、原子力利用における廃棄物などの問題解決に貢献できる可能性がある。原子核の性質は、原子核を構成する中性子や陽子の秩序に基づいた運動によって支配され、これら核子のエネルギー準位構造に起因する殻構造は、原子核の質量、原子核の崩壊さらに原子核反応などすべての原子核現象に関与している。本研究グループは、重原子核反応の視点から殻構造を解明する研究に取り組んできた。この過程で陽子や中性子が過剰な水銀から超重元素に至る原子核を生成するとともに、これら原子核の崩壊を実験的・理論的に調べてきた。その結果、陽子過剰な原子核である
180Hgにおいて新たな様式の核分裂現象を発見した(図1)。この成果は、従来、
235Uの熱中性子核分裂などの解釈に用いられてきた核分裂の概念が、安定核から遠く離れた不安定核の核分裂には適用できないことを示すとともに、普遍性の高い殻構造の概念を得るには、これら不安定核領域の開拓に挑戦する必要性を示唆した。
本グループは、これまでの成果をさらに発展させるため、不安定核の核分裂過程の解明に取り組むとともに、100Snに代表される陽子過剰核の新奇なα崩壊現象を解明するなど、エキゾチック原子核における新たな殻構造の出現と普遍性の高い殻構造理論の構築を目指した研究を進めている。このため、原子力機構が有するタンデム加速器施設や世界の加速器施設を用いた国際協力実験を行うとともに、理論計算では原子力機構のスーパーコンピュータなどを活用している。
図2 : 核分裂生成物質量分布: これらのデータは一回の重イオン核子移行反応で得られた。
手法 : 核子移行反応
A method applicable to measure reaction cros sections of unstable nuclei will be developed. It will produce the same compound nucleus as desired reaction by using different combintion of targat and projectile, mostly by multi-nucleon ransfer reaction, and we measure decay probabilitis to specific channel. .