原子核理論

大規模殻模型計算


原子核質量計算

原子核質量は原子核にとって最も基本的な量の一つである。それは原子核質量が原子核の全エネルギーそのものであり、それゆえに原子核の安定性を決定し、その崩壊や反応を支配しているからである。
我々は巨視的及び平均場的な描像に基づき、原子核質量の核図表上における大域的な性質を記述する、KTUY(小浦-橘-宇野-山田)質量模型と呼ばれる方法を開発した。この方法は原子核の大域的性質をよく記述し、原子核の閉核構造(閉核の中性子過剰領域変化や超重原子核は極超重原子核の閉核予想を含む)や、原子核の形状(形状の同位体または同調体の変化に伴う形状遷移を含む)の記述に成功した。
この模型を用いてα崩壊、β崩壊、自発核分裂、陽子放出といった主要な崩壊様式を含む包括的な原子核崩壊計算を進める。特に原子炉の安全性に大きく寄与するβ崩壊遅発中性子の研究のため、β崩壊の理論構築を進めていく。