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重元素系固体物理研究グループ
(Research Group for Condensed Matter Physics of Heavy Element Systems)

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重元素系化合物のための新しい固体物理コンセプトの開拓
重元素 ( f 電子) 系では、価数揺動、近藤効果、RKKY 相互作用(最後のNote参照)が競合している。その競合により量子臨界点、重い電子、非フェルミ液体、異方的超伝導、多極子秩序などの異常相が現れる。最近、5f 電子系の異常相は、4f電子系の場合とかなり異なっていることが明らかになってきている。これは、ランタノイド系化合物と異なり、アクチノイド系化合物では、異なった遍歴性とスピン・軌道自由度を持つ複数の5f 価電子が共存しうることに起因する。 本研究では、超ウラン化合物 ( f 価電子数 >3) を含め、いわば異なった j-j 結合状態を持つ複数 5f 電子系に起因する新奇量子物性の実験による発見解明に挑む。その解明は、従来異なった視点でしか捕らえられなかった 3d 電子系 (: 銅・鉄ヒ素系高温超伝導) 4f 電子系 (: Ce系超伝導) の橋渡しとなる。それを基にして、3d から 5f 系の磁性・超伝導統一的理解のコンセプト構築を目指す。 異常相への相転移近傍では秩序変数の揺らぎが増大する。従って、新奇現象解明には揺らぎの性質を明らかにすることがひとつの鍵となる。本研究ではNMR 法、μSR 法を中心に中性子散乱を含めて広範囲の空間・時間スケールの磁気揺らぎの性質を明らかにする。さらに本計画ではこれらの測定手段の極限環境下での実験開発を行う。これら、超ウランを含む化合物の微視的物性研究は、本グループを含めて世界でも数グループしか行えないユニークな研究である。
ITU, CEA-Grenoble, ILL-Grenoble, LANL, TRIUMF, PSI, Columbia大学等の海外研究機関との国際協力の他、東北大学金属材料研究所、大阪大学等の国内研究機関との協力研究も進めている。特に、超ウラン元素を用いた実験は、東北大学金属材料研究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センターと強力な協力関係の下、進めている。

(Note) RKKY相互作用とは、伝導電子のスピンを介した局在fスピンの相互作用を指す。この相互作用は、M.A.RudermanC.KittelT.KasuyaK.Yoshida4人に導かれた。
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