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重元素系固体物理研究グループ
Research Group for Condensed Matter
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Our Research Highlights

item5

ここでは、我々のグループの最近の研究成果について紹介する。時間を見つけて、追加して行く予定。

  • AmO2のNMR研究
  • CeIrIn5のNMR研究
  • PrPb3のμSR研究

item6

(Left) 約 7 T の磁場を用いたT > 6.5 K における 17O-NMR スペクトルの温度依存性。 内挿図は 120 K における double-Gaussian フィットした例. (Right) T0 以下と T0 以上の温度における 17O-NMR スペクトルの比較。半値全幅はそれぞれ、10 K において 0.42 kOe、 1.5 Kにおいて 7 kOe。(Oe は、磁場の単位。10 kOe = 1 Tesla。)

AmO2のNMR研究

二酸化アメリシウム (AmO2) のNMR研究を初めて行った。30年以上前に帯磁率測定によって8.5 Kにおいて何らかの転移が起こることが示唆されていたが、微視的に如何なる転移が起こっているのかは明らかとなっていなかった。90 %に 17O 核を濃縮した 243AmO2 の粉末試料を用意し、 1.5 K から200 Kまでの 17O-NMR 測定を行った。17O-NMR信号強度は、 8.5 K 以下で急激な減少を示し,1.5 K において、~14 kOe にわたって極端に拡がった 17O-NMR スペクトルを観測した。これらのデータは、初めて AmO2 における 8.5 K の転移が、バルクで起こっていることを微視的に初めて明らかにするものである。加えて、17O-NMR スペクトルは常磁性状態においても、2つのピークをもつことがわかった。こうした常磁性状態における二つの 17O-NMR ピークの分裂は、UO2 や NpO2 などの他のアクチノイド二酸化物では、観測されない。この分裂は、243Am の α 崩壊に伴う、自己照射効果を反映したものであると考えられる。 興味がある方は、次の論文を参照してください。: Y. Tokunaga, T. Nishi, S. Kambe, M. Nakada, A. Itoh, Y. Homma, H. Sakai and H. Chudo, J. Phys. Soc. Jpn.79, 053705 (2010).

item9

(Left) CeIrIn5 における温度圧力相図の概念図。 (Right) 格子定数 a = 4.666 Åを単位としてプロットした面内磁気相関長の温度依存性。

CeIrIn5のNMR研究

重い電子系超伝導体 CeIrIn5115In 核 NMR を行い、そのスピン格子緩和時間の詳細な解析から、動的磁率の虚部 Imχ(q, ω) の反強磁性秩序ベクトル Q 近傍の低エネルギー (~0.0001 meV) 領域におけるエネルギー、波数、温度依存性を見積もった。その結果、 Imχ(q, ω) は T-3/2、反強磁性磁気相関長 ξ は、T-3/4 の温度依存性を示すことがわかった。このことは、スピン波不安定性を示す3次元反強磁性体の臨界挙動として理解できる。 興味がある方は、次の論文を参照してください。: S. Kambe, H. Sakai, Y. Tokunaga and R.E. Walstedt, Phys. Rev. B 82, 144503 (2010).

item10

PrPb3 における零磁場 μ+SR スペクトル。最近接サイトの Pr 核スピンの影響を受けて μ+ スピンが回転している様子を表している。挿図はスピン結合状態 Pr- μ+ -Pr の概念図であり、青い矢印は超微細相互作用によって誘起されたf電子の磁気モーメントを表している。

PrPb3のμSR研究

正ミュオン μ+ を f 電子系化合物 PrPb3 に打ち込んだ際、μ+ スピンと最近接サイトの Pr 核スピンにより新奇なスピン結合状態 Pr - μ+ - Pr が形成されることを μ+SR 法により明らかにした。この結合には Pr の f 電子が関与しており、これまでに報告されている μ+ スピンと核スピンによる少数スピン系とは全く異なる形成要因をもつことがわかった。 興味のある方は、次の論文を参照してください。: T. U. Ito, W. Higemoto, K. Ohishi, N. Nishida, R. H. Heffner, Y. Aoki, A. Amato, T. Onimaru, and H. S. Suzuki, Phys. Rev. Lett. 102, 096403 (2009).