宇宙の錬金術(原子力機構JAEAチャンネルの動画。(2013年10月29日より公開))
*原著論文が公開されました(英語)
*簡単な概要があります(日本語・英語併記)
学会誌紹介記事(日本語)
3次元ブロック核図表
原子核は陽子と中性子から成り、その組み合わせで原子核が定まる。2次元平面上に縦軸を陽子の数(=原子番号)、横軸を中性子の数として各マス目に原子核の性質を表したものを核図表と呼ぶ。通常各マス目に半減期や質量エネルギーといった数字を載せるが、それらを3次元空間上の高さとしてその性質を表したのが3次元核図表である。
平成24年12月より作成を開始し、平成25年3月末に第1版として完成した。同4月に平成25年度科学技術週間サイエンスカフェで一般向けに公開し、現在も高校生および一般を対象にこれを用いた講演を行っている。
見方
3次元核図表を用いることにより原子核の様々な性質が視覚的に理解できる。以下、簡単なポイントを挙げる(上記の写真をクリックすると拡大できる)。
(1)質量値版(写真左):高さ軸が1核子あたりの質量エネルギー
- 鉄56(56Fe)付近の原子核が全原子核のなかで1核子あたりの質量エネルギーが最小であることがわかる(写真中で白いポールを立てているのが56Fe)。
- 軽い核から鉄に向かう方向にエネルギーが下がること。→核融合エネルギーの理解
- 重い核から鉄に向かう方向にエネルギーが下がること。→核分裂エネルギーの理解
- 既知核種(茶色以外)と未知核種(茶色)の境界がはっきりわかる。
- 半減期の長短で大まかに色分けされているので半減期の大まかな傾向がわかる(青:安定または長寿命、緑:30日〜5億年、赤:5分〜30日、黄色:5分以下)。
(2)半減期版(写真右):高さ軸がlog_10単位の半減期(1ブロックの高さが10倍に相当)
- 安定核種付近の原子核の半減期の差の著しさがわかる。
- ビスマス209(209Bi)より重い核種の半減期がおしなべて短い傾向にあるのがわかる。そのなかでトリウム232、ウラン235、238の3核種が比較的寿命が長く、ビスマス209より軽い安定核種に対して孤立しているのがよくわかる。
- 超重核の安定性の島の理論予測の様子がわかる。
(3)第一イオン化ポテンシャル(写真左中の左側の1次元棒グラフ):高さ軸がイオン化エネルギー(原子から最外殻にある電子1個をを引きはがすのに必要なエネルギー)
- 希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn)でイオン化ポテンシャルが極端に大きくなる(不活性に対応)。→原子の電子状態の周期性(閉殻構造)が実感できる。さらに陽子数、中性子数の閉殻数と比較することにより、原子の閉殻構造と原子核の閉殻構造の対比ができる。
講義、講演における想定利用例(高校生、大学生、一般向け)
- 宇宙における元素合成の解説(ウランがなぜ地球にあるのか):主要な利用方法
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超重元素合成の解説(合成実験の現状と理論予測)
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原子力エネルギー利用の解説(核融合・核分裂、核分裂生成物および核廃棄物)
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放射線同位元素の解説(年代測定用同位体、医療用同位体、トレーサー利用同位体など、我々が利用可能な核種の説明)
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